畳屋の仕事内容や年収|悪徳・詐欺店に騙されない為に敵を知ろう
激安価格を売りに問い合わせをさせて、実際の見積もりの時にはあれこれ適当に理由を付けて最初に表示していた値段とは比べ物にならないほど高額の請求を突き付ける悪徳詐欺まがい畳店が現実に存在します。
ですがもちろん、すべての畳屋さんがそのような悪徳営業を行っているわけではなく真面目に仕事をしてくれる畳屋さんが大多数ではあります。
実際に畳の張替えなどを頼む際には、そんな真面目な仕事をしてくれる畳職人さんに頼みたいですよね。
このページでは、少しでも悪徳畳店に騙されるようなことがないように参考情報としてごく一般的な畳屋さんの仕事内容や年収(売り上げ・利益・給料)などについて記載しておきますので、畳屋さんに依頼をする際の参考情報としてお役立てください。
畳職人のメインのお仕事は畳の張替えと作成
ではまず畳職人さんのメインの仕事内容についてみていきましょう。
畳職人のメインの仕事は「畳の張替え」や「新調畳の作成」です。
それぞれの畳店によって割合は変わりますが全体の仕事内容の5〜7割程度が畳の作成や畳の張替え仕事となります。
そのうち、畳の張替え(畳の表替え・畳の裏返し)が8割程度で新調畳の作成は2割程度といった仕事内容であるパターンが多いでしょう。
トップページにも書きましたが、相当の痛みが無ければ畳は新調する必要が無いほど長い期間(20〜35年)使い続けることが可能ですので、やたらと新調を勧める畳店の営業は警戒したほうが良いです。
仕事の進め方は
- お客さんから畳補修の依頼を受ける
- 補修する畳を作業場まで搬出する
- 依頼された畳の補修を行う
- 直した畳をお客さんに届けて設置し終了
といった感じで皆さんが想像するような工程になります。
混み具合や依頼された内容・数量などによって変わりますが早い場合、朝に畳を回収して夕方には納品という場合も結構あります。
また、補修する畳を回収する際に家具などを移動させる作業も行うことも有りますし畳自体かなり重たいですので見た目以上に力仕事が多いです。
営業ばかりに力を入れる畳屋さんは機械で畳を量産しており手仕事で職人技を使い畳を修繕することなどほとんどありません。
そのため最悪の場合、畳の基礎知識すら持っていなかったりします。
悪徳畳店によくあるパターンでもあるので「機械を導入して安価にしています。」といった畳屋さんの場合少し注意したほうが良いでしょう。
一般的な畳職人の仕事内容は畳以外にもある。
畳職人さんの仕事には畳の補修・作成以外にも仕事が有ります。
一つ目は、襖(ふすま)や障子(しょうじ)張りのお仕事で襖紙を張り替えるだけという場合や襖自体を作り直す場合とが有ります。(障子も同様です。)
畳の張替えと同時に、和室全体の雰囲気を明るくするために襖や障子を新しくするという方も多く、同時に依頼ができる畳店さんも非常に多いです。
畳職人さんは、畳を作る職人さんというよりかは和室全般の仕事を請け負ってくれる職人さんというイメージのほうが実態に即しているとおもいます。
二つ目は、現在では請け負う方も少なくなってきてしまいましたが刃物研ぎの代行業です。
意外に思うかもしれませんが、包丁などの刃物研ぎをやってくれる畳職人さんは結構いました。
というのも、畳職人さんは畳の張替えなどで使う道具で畳用の大刃包丁や小包丁・糸切包丁・框包丁など多くの刃物を使い、それをご自身で整備しています。
なので「刃物を研ぐのはお手の物」という畳職人さんは多く、それがそのまま仕事になっているというわけです。
現在は、機械でササっと研いでしまうことも多いですしステンレス製の安価な刃物を使い捨てる傾向も多いため廃れてしまいましたが少数ながら現在でも刃物研ぎをやってくれる畳職人さんはいらっしゃいます。
むしろ刃物研ぎを代行できるくらいの腕が有る職人さんはよい職人さんである可能性が高いですので見積もりの際に「刃物研ぎもやってますか?」など質問してみて実際に依頼する畳屋さんを選定する際の参考情報として利用してみるのもいいかもしれません。
襖や障子の張替え料金の相場は
- 張替えのみの場合 … 1枚¥3000〜¥12000(材料費込み)
- 作り変えの場合 … 1枚¥6000〜¥20000(材料費込み)
程度となっていて、材料費の比重が大きく正直そんなに利益率はよくありませんが畳屋さんの貴重な収入源となっています。
畳の張替えとセットで頼んだ方がちょっとおまけしてくれることも有るのでお勧めです♪
多くの畳職人が持っている資格など。
畳職人さんの仕事内容の次は、畳職人さんが持っている資格についてです。
畳職人自体は資格が無くて物できる仕事ではありますが(それが悪徳畳店や詐欺畳店の温床になっているようにも思えますが)、職業能力開発促進法という法律に定められた畳職人さんの技術力や知識を持っていることを国が担保する畳製作技能士という国家資格が有ります。
国家資格ですのでこの資格を持っていない人がホームページや広告チラシなどに「畳製作技能士」であることを書いたりすると法律によって罰せられることとなる信頼性の高い資格となっています。
悪徳畳業者や詐欺畳業者はこの国家資格を持っていなかったり、会社のトップ(営業責任者や社長)しか持っていないことが多いので優良畳店を選定する際の一つの指標にもなりますね。
畳製作技能士には1級と2級が有り、2級資格が無ければ1級試験を受けることが出来ません。
畳製作技能士2級資格を取得するには、2年以上の畳職人の実務経験か規定された学歴(かなり特殊な学歴)が必要となり
1.畳及び材料
畳の種類、構造、規格及び用途
2.施工法
畳製作に使用する器工具及び機械の種類及び使用方法、寸法取りの方法、寸法の割出し及び割付けの方法、畳の加工方法、畳の補修方法、畳の敷き込み方法、畳の管理方法
3.建築概要
床の構造、室内の採光及び換気、室内の造作及び装飾
4.安全衛生
安全衛生に関する詳細な知識
5.畳製作作業(実技)
畳の製作、畳の敷き込み、畳の補修
などの知識が必要となります。
1級畳製作技能士資格となるとさらに難関で、2級資格を取ってから1〜5年(細かな学歴によって変動)の実務経験を経たうえで2級の試験内容をより高度にしたものを突破しなければなりません。
なお、実務経験期間が短縮される学歴は普通職業訓練(2800時間以上修了)や職業訓練指導員免許取得・長期養成課程の指導員訓練修了などとなっているため現実的には実務経験7年は無いと畳製作技能士1級資格の取得は難しい仕様となっています。
本気で畳職人として生きていく覚悟が無ければまず取得は難しいでしょうから、その点でも信頼性が高い資格です。
畳屋さんの年収やお給料・利益はどんなもん?
さて、畳製作技能士1級資格などというかなり取得が難しい国家資格まである畳職人ですが気になる年収は幾ら位なのかというと
見習い期間
120万〜180万円/年
本職人
280万〜320万円/年
と決して高い年収やお給料ではないのが現状のようです。
勿論この数字は平均的な数字であり、ここに示した年収以上稼ぐ人気の職人さんもいれば畳製作技能士1級資格を持っているにもかかわらず下積み時代と変わらない程度の売り上げしかないという畳店さんも存在します。
口八丁手八丁の悪徳店や詐欺畳店が、お客さんを不当に吸い取って真面目な畳屋さんの売り上げが目減りしているという現実がなんとも歯がゆい気持ちになります。
畳業界のこれから未来の畳屋さんは
最後に畳業界の未来について少し触れて終わりにしたいと思います。
下のグラフは「畳」というキーワードの検索数の変動です。
2005年ごろに底になってから毎年徐々に検索数が増え続けているのが判ると思います。
ここからは私の私見になりますが、畳業界の未来はそれほど暗いものではないのではないかと思っています。
確かに、和室の減少が叫ばれていますが近年はそれも事情が変わってきており古民家人気などにも見られるように日本の古き良き文化というものが見直されている傾向があるのではないかと感じています
和室の減少も2005年ごろがピークで、今後は琉球畳などスタイリッシュでデザイン性の高い新しい形での和室の提案なども必要になるでしょうが需要は高まる傾向になるのではと思います。
注文住宅などでも、1部屋は和室にするという方も多いですし旧来型の畳や和室文化に縛られることなく、より新しい形で畳業界も進化していくのではないかと感じる次第です。