畳の張替え相場を畳店105店分の価格表から算出してみた
普段めったに頼むことのない畳の張替えにかかる費用相場が一体いくらくらいなのか、〇〇〇円くらいというアバウトな価格を書いてあるサイトはあるけれどしっかりと計算して価格相場を書いているところが見当たらなかったので自分で調べてみました。
正確な畳張替えの価格相場を知っておけばあり得ない低価格をうたい文句に客を釣り、高額請求をしてくる悪徳畳店に騙される可能性も低くなると思いますので畳の張替えを検討している方は参考にしてみてください。
張替え相場価格を知る前に畳の基本をサクッと解説。
まず、畳の張替え方法を知るために畳の構造を知っておく必要があります。
それほど複雑なつくりになっているわけではありませんが上の画像のように、畳は【畳床(たたみどこ)】という土台部分にイ草で出来ているゴザのような部分【畳表(たたみおもて)】を張り付け【畳縁(たたみべり)】を縫い付ける形で出来上がっています。
この構造を知っておくことで、一般的に行われる畳の張替えにかかる相場価格の理解も深まります。
一般的に良く行われる畳の張替えとは
- 畳の裏返し
- 畳の表替え
- 畳の新調
の三種類で、一般的に思われている畳の張替えとは二番目の【2.畳の表替え】を指していることが普通です。
あまり馴染みのない【1.畳の裏返し】とは、畳の表面部分(ゴザのところ)を一度剥して裏返しにして貼り付ける補修方法で、材料費も畳縁部分のみで良いため最も安価に綺麗にできる方法です。
次に、一般的に言われている畳の張替えである【2.畳の表替え】は畳の表面部分(ゴザのところ)を新しいものに交換する方法で畳職人さんに支払う技術料に加えて新しく張るゴザ部分(畳表といいます)の材料費がかかってくるためそこそこの費用が掛かる補修方法になります。
最後の【3.畳の新調】は、畳をすべて一から新しく作ることになるので畳表・畳縁・畳床全ての材料費と職人さんに支払う技術料がかかってくるため最も費用が掛かる補修方法となっています。
それでは、基本的なことの説明も終わったので実際に調査してみて解った本当の畳張替えにかかる相場費用と費用分布を見ていきたいと思います。
・今回の相場価格の調査対象について
今回の畳の張替え価格相場を調査したのは主に東京都内の畳店と東京近郊の埼玉県・神奈川県・千葉県などの畳店ホームページに掲載されている価格表を基に算出しています。
そのため、関東で主に使われている江戸間(関東間)サイズの畳が基準となりますので京間などのサイズの大きい畳の場合は2〜3割ほど価格相場が上がりますのでご注意ください。
畳の裏返しの価格相場と多い価格帯【4340円/1枚】
畳のゴザ部分を裏返しにして張りなおす畳の裏返しという補修方法。
ある意味、臭い物に蓋をするというか汚くなった面を見えなくするという補修方法なので痛みが激しい場合などには使えない畳の張替え方法です。
しかし、材料費が畳の端っこの部分(畳縁)を新しくするだけなのでほとんどかからず安価に張替えが可能な方法です。
畳の裏返しにかかる費用の算出方法は
【技術料】+【畳縁材料費】×枚数=裏返し費用
となりますが、交換が必要となる畳縁の材料費についてはコミコミの値段という畳店が多かったので相場価格=裏返し費用と思ってよさそうです。
畳の裏返しの費用を明示していた畳店さんは、調査した105店中80店有りその平均値は【4,340円/畳1枚(税込み)】でした。
価格帯の分布は【4180円/畳1枚(税込み)】が27%で最も多く次に【4440円/畳1枚(税込み)】24%【3850円/畳1枚(税込み)】14%【5500円/畳1枚(税込み)】2%で、その他の価格帯が33%でした。
4180円/畳1枚…27%
4440円/畳1枚…24%
3580円/畳1枚…14%
5500円/畳1枚…2%
その他…33%
その他の価格帯も4300円前後が最も多く、最高値が6600円で最安値が3540円となっています。
1畳当たり4000円ちょっとであれば相場価格内といえ、仮に平均価格で6畳間のすべての畳を裏返した場合
4340円×6畳=25,920円
となります。
この位の価格帯を参考に見積もり価格と照らし合わせるとよいと思います。
賃貸住宅の安価畳張替え相場価格【大家・不動産屋向け】
次に、畳の張替えである畳の表替えの相場価格ですが利用用途によって相場価格がかなり変わってくるので
- 賃貸経営者向け
- 一軒家向け
- 神社仏閣・事業者向け
と3種類に分けて記載していきたいと思います。
まずは、借主などが退居した際など頻繁に畳の張替えをすることが多い賃貸経営者である大家さんや不動産業者さん向けの畳張替え相場について。
張替え頻度が一般住宅などに比べてが早いサイクルで行われる賃貸物件などの和室には中国産の激安畳表が使われると思います。
今回調査した105店の畳店のうち105店全ても最も安い畳表の価格平均値は【5,606円/畳1枚】でした。
価格帯の分布は【5500円/畳1枚】が最も多く30%【4950円/畳1枚】が次いで19%【7700円/畳1枚】11%【6600円/畳1枚】8%【6050円/畳1枚】7%【7480円/畳1枚】4%【その他】21%となりました。
5500円/畳1枚…30%
4950円/畳1枚…19%
7700円/畳1枚…11%
6600円/畳1枚…8%
6050円/畳1枚…7%
7480円/畳1枚…4%
その他…21%
その他の価格帯も5000円〜6000円台が大半で、最安値が【3960円/畳1枚】で最も高かった価格が【11800円/畳1枚】となっていました。
3・4年で裏返しや張替えをすることを前提で導入するのであれば安くてよいかもしれませんが、長期間張替えを考えていない場合などは一般家庭用の畳表を導入してもコストパフォーマンスはよいかもしれません。
中国産激安畳で6畳間を全部張り替えた場合
5606円×6畳=33636円
程度が相場価格となりそうです。
一般家庭向け畳張替え相場価格【一軒家の和室など向け】
次に、一軒家など長期間張替えを行わない畳の張替えを行う際の畳表の価格相場を見ていきたいと思います。
賃貸住宅のような頻繁な交換を前提とした畳の張替えではない為、安価な中国産畳表よりも長期間使うことが出来る国産の中級品〜高級品の需要が一軒家向けには高いようです。
一般家庭向けの畳張替えの価格は、今回調査した畳店105店舗のうち101店舗に価格の記載が有りその平均値は【10861円/畳1枚】となっていました。
少し良い畳を張り替える方が多いようです。
価格帯の分布は、【9000円台/畳1枚】が27%で最も多く、ついで【11000円台/畳1枚】が23%で9000円〜11000円/畳1枚が50%を占める結果になりました。
その他は【12000円以上/畳1枚】の高級品が21%と割合が高く【8000円台/畳1枚】15%【10000円台/畳1枚】7%【7000円台/畳1枚】5%【6000円台/畳1枚】2%となりました。
9000円台/畳1枚…27%
11000円台/畳1枚…23%
12000円〜/畳1枚…21%
8000円台/畳1枚…15%
10000円台/畳1枚…7%
7000円台/畳1枚…5%
6000円台/畳1枚…2%
一般的なご家庭の6畳間をすべて張り替えるとなると
10861円/畳1枚×6畳=65166円
程度の価格帯であれば平均的な相場価格といえそうです。
ただ、使う材料を高級なものにすればこの相場以上の価格帯にもなりますので実際に依頼する畳職人さんと相談しながら決めるのが良いと思います。
実際に畳の張替えを依頼する際には畳製作技能士1級という国家資格を持った信頼できる畳職人さんが安心できます。
コチラのページで紹介しているサイトで口コミを参考に探すことが可能です。
事業者・神社仏閣向け超高級畳の相場はピンキリ
最後に、神社やお寺さんなど非常にしっかりとした国産高級畳を使用する必要がある建物に使われる熊本産の高級畳表の価格相場ですが、これは正直言ってピンキリすぎてよくわからないというのが本音です。
一応調べた数値は乗せておきますが、すべて一から作り上げる必要がある場合がほとんどでしょうからそれなりの価格は覚悟する必要があると思います。
高級畳の値段の平均値は101店舗の価格表から算出した場合【23363円/畳1枚】となり、最も高額だったのが【88000円/畳1枚】で最も安かったのが【11000円/畳1枚】となりました。
高級畳の最安値域の価格帯分布は
1万〜2万円/畳1枚…51%
2万〜3万円/畳1枚…18%
3万〜4万円/畳1枚…12%
5万〜6万円/畳1枚…8%
4万〜5万円/畳1枚…5%
1万円以下/畳1枚…4%
6万円以上/畳1枚…2%
もっとも、ほぼすべての畳店が価格の一番後ろに「\〇〇〇〜」とついていましたので、実際の価格は見積もりを取ってみないことにはわからないというのが本当のところだと思います。
部屋数も多く、動く金額も相当なものとなるでしょうから数十社からの見積もりを取り検討するのが良いと思います。
(たぶんお抱えの畳屋さんが居るのでしょうけどね。)
新品畳を敷き詰める場合の費用算出方法
最後の畳張替えの方法は全ての畳を新しいものに交換をする新調です。
古くなった畳を処分して新しい畳をすべて買い揃えることとなりますので、3種類ある畳の張替え手段の中でも最も高額になる方法です。
なお、畳を新調する際にかかる費用の算出方法は概ね
(畳表替え費用+新品畳床費用+廃棄畳費用)×枚数=畳新調費用
となりますので、畳の表替えを行う費用に対して古い畳の廃棄費用と畳の基礎となる畳床の費用が加算されるという形で算出することが可能です。
よって、張替えを希望する畳表の値段によって総額は変動しますので上で書いている畳表の相場も参考にしてご自身の希望する畳の新調にかかる費用の算出してみてください。
畳床の価格相場と価格幅
では、畳を新調する際に必要となる畳床(畳の基礎となる建材)の価格相場から見ていきます。
最も安い、建材用のスポンジのような物で作られた畳床の最安値域の値段は
7700円/畳1枚…36%
5500円/畳1枚…20%
6600円/畳1枚…17%
その他/畳1枚…16%
9900円/畳1枚…11%
となり、値段にばらつきがあるものの概ね5500〜7700円/畳1枚といったところが多い価格帯であるように思われます。
今回調査した畳店に掲載してあったり価格表から推察できる畳床の値段の平均値も7370円/畳1枚と、この値と近い数字になっています。
なお、化学建材ではなく昔ながらのわら編みの畳床にしたい場合は上記の値段にプラス2000円〜3000円/畳1枚といった価格になるようで、この点についてはほぼすべての畳店で同様の仕様になっている様子です。
古い畳の処分費用の相場と価格帯は?
次に、畳を新しくした際に不要となる畳の処分費用の分布です。
2200円/畳1枚…44%
1650円/畳1枚…24%
1980円/畳1枚…12%
2750円/畳1枚…5%
2420円/畳1枚…5%
2020円/畳1枚…5%
1760円/畳1枚…5%
となり、概ね畳1枚当たり2000円前後の処分費用が掛かるようです。
畳の処分費用の平均値も2047円/畳1枚と近い値になっています。
また、化学繊維などを使用した畳床の処分費用は2200円だがわらのみで作られた畳床の処分費用は1650円と、処分する畳床の種類によって値段が変わるという値段設定も多くみられ、畳の処分のみを執り行う場合プラス500円〜1500円/畳1枚必要という所もありました。
「畳の処分だけの依頼はお断り!」という畳店もかなり多いことなどを考慮すれば畳の処分費用はそのまま実費であると考えられますので、この部分を値切るような交渉は失礼にあたる可能性が高く控えるというかやめておきましょう。
「赤字でお願いします♪」といっているのと同じですからね。
畳を全部新しくする場合の参考相場価格を計算してみた
畳をすべて新しくする際には
(畳表替え費用+新品畳床費用+廃棄畳費用)×枚数=畳新調費用
という計算式で割り出す必要があり、ここまでですべてのかかる費用の平均値や相場を例示してきましたが少しわかりにくいところもあったと思います。
ですので、ここでいったん調べた相場を基に賃貸向けの中国産激安畳で6畳間を新調した場合と、一般家庭の和室を需要が多い一般家庭向け国産畳で6畳間の畳を全部新調した場合の参考値を計算してみたいと思います。
賃貸物件の場合、表替えや張替えの頻度も高く耐久性は悪いけれど安い中国産畳表を利用することが多いですので、畳表替え費用の平均値相場は「5606円/畳1枚」でした。
使用する畳床も比較的安い「7370円/畳1枚」の物を使用するとして、古い畳の処分に「2047円/畳1枚」かかったと推定します。
すると計算式はこうなりますので
(5606円+7370円+2047円)×6枚〔畳〕=90138円
総額で90138円ほどかかってくると推察できます。
もっとも、賃貸物件などの場合はすでに退去済みで空き室になっている場合は畳1畳あたり500円程度の割引をしてくれる畳屋さんも多少見られましたので若干の割引交渉はできるかもしれません。
6畳間(関東畳)の畳新調は大体9万円弱程度の費用を見ておけばよいと思います。
一般住宅の場合、表替えや張替えの頻度はあまり高くはないのでもちが良く耐久性が高い国産畳表を利用することが多いですので、畳表替え費用の平均値相場は「10861円/畳1枚」でした。
使用する畳床は比較的安い「7370円/畳1枚」の物を使用するとして、古い畳の処分に「2047円/畳1枚」かかったと推定します。
すると計算式はこうなりますので
(10861円+7370円+2047円)×6枚〔畳〕=121668円
おおよそ121668円程度かかるという計算になります。
流石に全部の畳を新品にするとなるとかなりの金額になりますので、それなりの金額になる事を覚悟しておく必要はありそうです。
もっとも、畳の新調は相当劣悪な状態にならなければ行う必要はありませんので通常は畳表の張替えのみで
10861円×6枚〔畳〕=65166円
程度の費用で済む場合がほとんどでしょう。
悪質な業者ほど必要のない畳の新調を持ち掛け高額な請求をしてきますので、見積もりなどの際によくよく職人さんと相談の上畳の補修方法を検討するとよいと思います。
フチ無し畳・琉球畳で6畳間を新調する場合いくらかかる?
畳新調の章の最後に今スタイリッシュな和室になると人気がある縁取りが無い四角い畳、琉球畳を使って一般的な6畳間を全て新調した場合に費用概算を算出してみたいとおもいます。
フチ無し畳・琉球畳は通常の長方形畳のおよそ反畳ほどの大きさになり、6畳間を琉球畳に変えるとなると通常の畳の枚数の倍の枚数が必要となります。
また、畳1枚当たりの値段も通常の国産中級〜高級畳に比べて2〜3割ほど割高な値段設定になっているのでそれを基に計算すると
新しい琉球畳の代金
(10861円×1.25)×12枚〔畳〕=162915円
古い畳の処分費用
2047円×6枚〔畳〕=12282円
162915+12282=175197円
となって、およそ17万円〜18万円くらいの費用が掛かってくる計算になります。
結構しますね(汗)
これは、比較的安いフチ無し畳・琉球畳を使用したと仮定した際の費用ですので本格的なイ草を利用した琉球畳をオーダーした際にはもっと高額になると思います。
また、壁紙や襖なども一緒に張り替えてフルリフォームした場合は6畳間だったとしたら大体30万円くらいは見込んでおいたほうが良いと思います。
新築する際に取り入れるのが賢明だと思います。
加算費用は?畳張替えで追加請求される場合。
最後となりますが、畳の張替えを依頼した場合に今まで書いてきた相場金額や価格に上乗せされて請求されるようなケースについて書いてこのページを終わりにしたいと思います。
切欠け畳とは、通常の長方形ではなく5角形や変形が必要な畳の事で部屋の形がいびつな場合などに必要となります。
このような畳をつくる際には通常の畳製作よりも手間がかかりますので、畳1枚当たり1000円〜2000円程度増額となるケースが多いでしょう。
切欠け畳が多い部屋ほどちょっと割高になってしまうことを覚えておきましょう。
畳の張替えを行う際には、その部屋に置いてある家具などを一度搬出する必要がありますが、家具の移動などは料金内で畳屋さんが行ってくれるのが一般的です。
しかし、箪笥や机などの通常の家具ではなく金庫やピアノなどの物凄く重いものが置いてある場合は通常料金で移動を行うことはできず「数千円/個」の追加料金が上乗せされるか家具移動だけを専門の業者に依頼することとなります。
畳を張り替えるには当たり前ですが張り替える前の畳を運び出して、出来上がった畳を運び入れなければなりません。
ですので、エレベーターが無い高層階のマンションなどであると人力で部屋まで運び入れなければならなくわけですのでその分の作業代を上乗せされることが有ります。
2Fや3F程度であれば料金内で対応してくれる畳屋さんが多いですが、4F以上でエレベーターが無い場合は1F上がるごとに「1000〜1500円/畳1枚」程度の追加料金は覚悟しましょう。
相場価格を知って悪徳畳店に引っかからないようにしましょう。
以上、結構大変でしたが「畳の張替え相場を畳店105店分の価格表から算出してみた」でした。
トップページに記載していた相場額はかなりザックリとしたものでしたので、より正確に近い数字を示せたのではないかと思います。
実際の見積もりや金額などは個々の事例によって変動すると思うのであくまでも参考値ですが畳の張替えを検討している方のお役に立てたならと思います。
また、今回の調査で「激安¥1980〜/枚」や「¥2000〜/枚キャンペーン」という安さで釣って高額請求を狙ってくる悪徳畳店の打ち出している値段がいかにいい加減なものであるかが良く分かったと思います。
確かに、企業努力で低く価格を抑えてそれなりのものを提供してくださる畳屋さんも中には居るかもしれませんが物には限度というものが有ります。
冷静に正確な情報を参考にして真面目に仕事をしてくれる畳屋さんを選んで行きたい所です。
国家資格である畳製作技能士1級保有者などを確認しながら選出することでも真面目に畳と向き合ってくれる職人さんを選ぶことも可能です。
当サイトでも下記リンクページでもお勧めしているポータルサイトなどを利用して効率よく真面目な畳屋さんに依頼するようにしましょう。
このサイトの情報がお役に立てたなら幸いです。